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色彩心理から見た『源氏』の女君のキャラクター

紫の上が「紫」の名で呼ばれるのは、平安時代、紫には「恋しい人のゆかり」というイメージがあったから。光源氏は父帝の妃の藤壷という許されない人に恋し、代わりに彼女に瓜ふたつな紫の上を妻にした。紫の上は「藤壷のゆかり」であることが着物の色にも反映されているのだ。紫の上のイメージカラーの紫は、色彩心理では神秘や気高さとともに不安や官能を表す(色彩心理については前掲書や末永蒼生著『色彩心理の世界』を参考にした)。藤壷の藤も紫だ。紫は、官能の世界に人をいざなう色なのだろう。その意味で紫も「モテる色」だ。かつて光源氏を魅了した夕顔も白と薄紫を着ていた。白の素直さと、紫の官能という、最強のモテ女の色である。光源氏に養女として迎えられた玉鬘もモテる女。彼女の着物の色は一点の曇りもない赤と黄色。赤は生命や情熱とともに、怒りや攻撃欲を含めた強い意志を表す。紫の上(満二十七歳)に劣らぬ美貌で、しかも若い玉鬘(満二十一歳)の髪や肌をまさぐるなどのセクハラを働いていた光源氏(満三十五歳)は、彼女に自分への怒りを感じていたか。赤は興奮色でもあり、光源氏の欲望も投影されていよう。玉鬘は明るい人でもあって「目元がにこやかすぎるのが気品を殺いでいる」とされ、愉快と希望を表す黄色に呼応してもいる。赤はモテ女の色というよりは欲望の色、黄色もその仲間といえようか。
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